洗濯機を買い替えることしにた。
ずっと乾燥機能が壊れていたが倹約家の妻は「どうせ使わないから」とそのまま使っていた。洗濯干しは浴室乾燥でも代用は効くがお日様が一番経済的で良いのだとの固定観念が妻にはあるようだ。空中に飛び交うダニだろうが埃や微粒子なども全てお日様が退治してくれるという日光万能論者である。「乾燥機能なし」はそれで良い?としても洗濯機そのもののメンテナンスには内蔵ヒーターは必要なようだ。今はなき家電メーカー製なのでもう部品は手に入らないということだった。そのため、いつかは買い替えなければと思ってはいたものの「勿体無い」が決断を先送りしていた。こんなまだ使えるのにと買い替えるを躊躇する昭和人の背中を推してくれるのが「下取りサービス」の謳い文句であった。良く考えたら、再生品としても全く価値のないものを下取るなんてありえないので、単なる値引きの口実であるろう。その証拠に広告の下に小さな文字で(下取り品がない場合でもご相談ください)と書いてある。それでも「下取り」と言う言葉の響きはモノを大切にしてきた昭和人への殺し文句である。妻も古着を売りさばくまではと言う口実で部屋を片付けない。
こうして新しい洗濯機が我が家にやってきた。型落品とはいえ新品である。前任者の洗濯機が15年間働いてくれたのだから、貴殿には私と一緒に棺桶に入るつもりで働いて欲しいと国産メーカーのエリート洗濯機に語りかける。しかし其奴は搬入時に妻のお気に入りの壁クロスに大きな傷をつけ、納入業者と善後策を話し合う羽目になったのである。
