子供の頃のこの季節、寝坊すると母が「春眠暁を覚えず」とよく言ったもんだ。私の寝坊を咎めないところを見ると、母も普段より朝は遅かったのだろう。現在、妻を見てると女性はよく寝るなぁ・・・いや、よく眠れるもんだと感心する。と同時に女性の方が長生きだが、もしかすると生きているうちの活動時間は同じなのかもしれないと思ったりする。
高齢者と言われる様になって、確実に眠りは浅く短くなった。いい気持ちでうとうとするという至高の時間は得られなくなった。妄想する願望もない。お金はあったほうが安心するのだろうが、あったとて何をする時間も元気もない。(持ったことがないので分からないが)元気をどこかに売っていないだろうか?
人間からロマンというエキスを抜き取った残りカスが、老人と呼ばれる生物なのだろう。何かを求める気力を失ってはいかんと思う春の朝である。
