小心者につき

 最近、何度か就寝中に金縛りに遭うことがあった。若い頃にも何度かあり、その時に周りの人に聞いたら経験者もいたし「何それ?」という人もいた。不思議なことに明るい下では起きず暗くして寝ている時に起こるようだ。諸説あるがいまだに理由はわからない。
 金縛りで困るのは、体が動かないし声も出ないのに意識だけがあるということである。必死にもがいてしばらくして解放される。オカルトめいた話には興味がないが、ふと「もし死んで肉体が無くなった後もこんなふうに意識が残ったら恐ろしい」と思った。無間地獄があるとしたらこんなことか?
 人間のタイプとして死後の世界があるかも知れないと思う人とそんなもの無いとキッパリという人がいる。死後の世界など合理的に考えてもあり得ないと思うのだが、それでも幼い頃から大人になるまで、死後は「生前の功罪を裁かれる」とか「先に無くなった人やペットに会える」とか言う会話は何度となく交わしてきた。なので多くの人は信じる信じないは別に「あの世」を考えたことはあるのでないか。むしろ「死ねばそれで終わり。何もない」と躊躇なく言い切れる人が羨ましくもある。「生命は永遠なのか?」と言う問いは老いを重ねればどうしても考えてしまうテーマである。私の現在の妥協案としては「死ねば生命は肉体を離れ記憶も全て失い、天(宇宙)に戻りダークマターの一つとなり、次の出番を待つ」としている。
 冒頭のような存在、地縛霊のような「無間地獄」は人間が作り出した想像上の世界だと思いたい。と言うことはやはり死後の世界をなんとなく恐れているのだな